Kumamoto Gramophone

浜辺の歌 成田為三作曲

この歌は、ヨーロッパ七音の長音階で、曲調も当時としてはきわめてバタくさいものであったが、外国人には反対に日本的な感じを与えるらしく、のちにフランスのチェリスト・マレシャルによってチェロ独奏曲にまで用いられるようになった。発表当時は、一部の知識階級層や女学生の間に歌われた程度であったが、今日もなおひろくうたわれている。此の曲は大正中期以後興った「赤い鳥」運動の中から生まれた童謡や歌曲の先駆を為すものであり、同時に「荒城の月」などとともに、芸術歌曲への輝かしい一歩を記す物であった。1


  1.  伊藤信吉・伊藤整・井上靖・山本健吉編「日本の詩歌ー別巻・日本歌唱集」(中公文庫)